概要
RVT-H Reader は、任天堂が Wii 向けに用意した HDD 式の開発・検証用ハードウェアである。内蔵 HDD へマスターデータを書き込み、Wii 実機系ハードウェア上で起動する。仮想的なディスク交換や読み込みエラーの発生も行える。[1]
専用の RVT-R Disc を光学ドライブから読み込む RVT-R Reader に対し、RVT-H Reader はマスターデータを HDD に保持する。任天堂の資料では、主にテスターおよびパブリッシャー向けの機材として位置づけられている。[4]
基本情報
| 名称 | RVT-H Reader |
|---|---|
| 型番 | RVT-005 [6] |
| 用途 | マスターデータの実機検証 |
| ストレージ | 内蔵 HDD |
| バンク数 | 最大 8 |
| PC 接続 | USB (前面 Mini-B 端子) |
| メイン基板 | RVT-CPU-01 |
| メモリ | 64 MB GDDR3 ×2 (MEM2 128 MB) |
| 対応マスターデータ | Wii 用 (1 層 / 2 層)、ニンテンドーゲームキューブ用 |
ハードウェア
メイン基板には RVT-CPU-01 を使用する。64 MB の GDDR3 モジュールを 2 個搭載し、MEM2 は計 128 MB となる。[1] 内蔵 HDD のほか、ディスクエミュレーションと前面パネルを扱う専用ハードウェアを備える。[1]
コントローラを有線接続する Wired 構成と、Wii リモコンなどを使用する Wireless 構成が存在する。[1][4]
HDD とバンク
マスターデータは PC から内蔵 HDD へ書き込まれ、最大 8 つのバンクで管理される。Wii 用マスターデータ (1 層) とニンテンドーゲームキューブ用マスターデータは 1 バンク、Wii 用マスターデータ (2 層) は連続する 2 バンクを使用する。[1][3]
| マスターデータ | 使用バンク数 |
|---|---|
| Wii 用マスターデータ (1 層) | 1 |
| Wii 用マスターデータ (2 層) | 2 |
| ニンテンドーゲームキューブ用マスターデータ | 1 |
Writing Software の資料には .rvm、.gcm、.rpf、.dlf が現れる。通常の手順はマスタリング済みの .rvm を使用するもので、Quick Start Guide は .rpf の直接書き込みを避けるよう案内している。[1][2]
前面パネル
赤系の前面パネルには、バンク選択、仮想的なディスクの挿入・排出、エラー注入、PC 接続に用いる操作系が設けられている。DISC NUMBER は 4 個の LED で構成され、選択中のバンク番号などを 2 進数で表示する。各 LED は 8、4、2、1 の値に対応し、全点灯は書き込み可能状態、全消灯は有効なマスターデータがない状態を示す。[1]
| 操作 | 機能 |
|---|---|
| DISC CHANGE | EJECT 状態で次の有効なバンクへ切り替える |
| INSERT (長押し) | 仮想的な INSERT / EJECT 状態を切り替える |
| DISC CHANGE + INSERT | 書き込み可能状態へ戻す |
| ERROR + INSERT | Retry Error を発生させる |
| ERROR + DISC CHANGE | Fatal Error を発生させる |
| FLUSH (長押し) | EJECT 状態で選択中バンクのマスターデータを部分消去する |
仮想的な INSERT / EJECT は INSERT ボタンの長押しで切り替える。市販筐体側の EJECT ボタンは使用せず、電源を切る際は仮想 EJECT 状態へ戻す。[1]
PC との接続
RVT-H Reader は前面の Mini-USB 端子で Windows PC と接続し、RVT-R / RVT-H Writing Software から HDD へマスターデータを書き込む。GUI 版は rvtwriter.exe、CUI 版は rvtwt.exe である。[1][3]
- PC と RVT-H Reader を USB で接続する。
- Writing Software で空きバンクとマスターデータを選ぶ。
- 書き込みと必要な検証を行う。
- ソフトウェアからデバイスを Remove し、前面パネルで仮想的にディスクを挿入する。
USB 接続中は INSERT と DISC CHANGE を操作できないため、実行前にケーブルを外すか、Writing Software から Remove する。Writing Software には RVT-H 側ファームウェアの更新機能もあり、Wii ハードウェア側ファームウェアとは別系統として扱われる。[1][2]
構成差
40 GB HDD を搭載する個体と 80 GB HDD を搭載する個体が報告されている。また、Wii リモコンなどを使用する Wireless 構成と、有線コントローラを使用する Wired 構成が存在する。HDD 容量ごとの公式な枝番や提供時期は確認できていない。[1][5]
内部構造
RVT-H Reader は、RVT-CPU 基板と RVT-HDD 基板の 2 基板を中心に構成される。RVT-CPU 基板には 64 MB の GDDR3 を 2 個搭載し、RVT-HDD 基板側に HDD を備える。
出典
- Nintendo, Preliminary RVT-H Reader Manual, RVL-06-0202-001-C, 2007.
- Nintendo, RVT-H Reader Quick Start Guide.
- Nintendo, RVT-R WRITER / RVT-H READER Writing Software User's Guide, 2006.
- Nintendo Software Development Support Group, Wii Tools Overview.
- WiiBrew, RVT-H.
- Stefan Egger, Nintendo Wii Development Kit, Lotek64 No. 55, July 2017, pp. 52–53. p. 53 掲載の実機銘板に「RVT-H Reader (Wireless)」「MODEL NO. RVT-005」とある。