概要
NDEV は、任天堂が Wii ソフトウェア開発者向けに用意した開発・デバッグ用ハードウェアである。Windows PC と接続し、ディスクエミュレーション、プログラムの実行、デバッガ制御、端末出力に使用する。任天堂資料では、RVT-H Reader や RVT-R Reader がテスターおよびパブリッシャー向けであるのに対し、NDEV は開発者向けの機材として位置づけられている。[1][3]
光学ディスクを作成せず、PC 上のファイルをそのまま Wii 用ディスクとして扱えることが NDEV の中心的な機能である。実機の光学ドライブに近い読み込み速度を再現するモードと、読み込み速度を制限しない高速モードを使い分けられる。[2]
基本情報
ハードウェア
NDEV は Wii の本体機能に加え、PC とのディスク通信、デバッガ制御、インターフェース用ファームウェア更新に用いる接続機能を備える。MEM2 には 64 MB の GDDR3 を 2 個、計 128 MB 搭載し、市販 Wii より 64 MB 多い。MEM1 は市販 Wii と同じ 24 MB である。[1][3][4]
前面には SLOT-A / SLOT-B、SD CARD、4 系統の SI 端子、電源・リセット・SYNC・EJECT 等の操作部がある。背面には AV MULTI OUT、SENSOR BAR、USB ホスト端子、PC 接続端子、SERIAL 端子、BT MODE スイッチを備える。光学ドライブと HDD は搭載せず、ディスクデータはホスト PC から供給する。[1][8]
PC との接続
背面の USB(DI)、USB(COM)、USB(DEBUG) を 3 本の USB 2.0 ケーブルでホスト PC へ接続する。USB(DI) は ODEM によるディスクエミュレーション、USB(COM) は Host I/O (HIO2) による実行中のゲームと PC 間の開発用データ通信、USB(DEBUG) はデバッガ制御に使用する。USB 接続は NDEV インターフェース用ファームウェアの更新にも用いられる。[1][10][11]
RS-232C の SERIAL 端子は、OSReport など Wii アプリケーションからの端末出力を PC 側で監視するために用いる。Quickstart Guide の既定値は 115,200 baud、8 ビット、パリティなし、1 ストップビットである。資料上の対応 PC は Windows XP で、NDEV Software は 3 つ以上の空き USB 2.0 インターフェースと 1 つ以上のシリアルポートを動作環境としている。[1][2][12]
ディスクエミュレーション
ODEM.exe は、PC 上のファイルとディスクレイアウト情報を使って NDEV の光学ドライブをエミュレーションする。入力には主に .dlf、.dsf、.rcf と、それらから参照されるデータファイルを使用する。マスターデータである .rvm を先に作成しなくても実行できるため、ファイルを差し替えながらのデバッグに利用できる。[2]
ODEM からは仮想的なディスクの Load / Eject、NDEV CPU の Reset、読み込み速度のエミュレーション、高速モードを操作できる。Retry Error と Fatal Error を意図的に返す機能や、ディスクアクセスへの応答を一時停止する機能もあり、読み込み失敗や遅延時の挙動を確認できる。[2]
実行・デバッグ
NdevRun.exe は、指定した .elf を .dol へ変換し、ODEM 用のディスクレイアウト情報を作成する。オプションにより、そのまま ODEM を起動できる。SDK からは ndrun を使って同じ処理を呼び出せる。[2]
デバッグには Metrowerks CodeWarrior と NDEV 用ライブラリを使用できる。USB のデバッガ経路が制御を担当し、SERIAL 端子はアプリケーションのログを端末へ出力する。[1][2]
コントローラ
NDEV では Wii リモコンと Wii リモコン (有線) を使用できる。背面の BT MODE スイッチで有線 / 無線モジュールを切り替え、切り替えは電源を切った状態で行う。Wii リモコン (有線) は、左側面の BT WIRED 端子へ RF Wired RVT Controller Splitter を接続することで最大 4 台まで使用できる。[1][3]
有線・無線のどちらも NDEV とのペアリングが必要で、NDEV 前面と Wii リモコン側の SYNC ボタンを使用する。[5][6]
ファームウェア
NDEV は、使用する Revolution SDK に対応したファームウェアを必要とする。工場出荷時の状態が最新とは限らないため、SDK およびパッチの Readme に指定された版へ更新する。[1]
ファームウェアの版は DEVKIT SYSTEM MENU から確認できる。更新用データは ODEM へ読み込み、仮想ディスクと同様に NDEV 上で実行する。[3]
リビジョン・構成差
任天堂のコントローラ資料では、NDEV 2.00、2.01、2.1 の表記を確認できる。NDEV 2.00 には有線、2.01 には無線の開発用コントローラが対応し、NDEV 2.1 では有線・無線の RD3 が記載されている。[6]
内部構造
NDEV は、Broadway や Hollywood、メモリなど Wii 本体側の主要部品を搭載する NDEV-CPU 基板と、USB や RS-232C などホスト PC との開発用インターフェースを担う NDEV-IO 基板を中心に構成される。実機では、CPU 基板に NDEV-CPU1-X1 や NDEV-CPU2-X4、I/O 基板に NDEV-IO-X1 といった基板シルクが確認できる。光学ドライブと HDD は搭載しない。
出典
- Nintendo, Quickstart Guide for the Revolution Development Environment (for Revolution SDK 2.2), RVL-06-0045-001-E, 2006.
- Nintendo, NDEV Software Manual, RVL-06-0029-001-I, 2008.
- Nintendo Software Development Support Group, Wii Tools Overview.
- Nintendo Software Development Support Group, Wii Hardware Overview.
- Nintendo, Development Controller Version 4 Setup Guide, RVL-06-0119-001-A, 2006.
- Nintendo, Wii Remote and Nunchuk Hardware Overview, RVL-06-0002-001-D, 2006.
- NIN-RVT-001 KCC / MSIP certification record. 機器名を NDEV、型番を RVT-001 として記録している。
- WiiBrew, NDEV.
- The Video Game Kraken, NDEV Wii Development Unit (RVT-001).
- Nintendo, Revolution SDK Roadmap, RVL-06-0046-001-B, 2007.
- Nintendo, Revolution Transition Guide, RVL-06-0025-001-B, 2007.
- Nintendo, Revolution SDK Operating System, RVL-06-0042-001-E, 2009.