概要
Revolution Arcade (RVA-001) は、任天堂が Wii の基本アーキテクチャを業務用筐体向けに展開したアーケードシステムである。2008 年に登場し、光学ドライブを持たず、家庭用 Wii の映像出力に代えて VGA 出力と JVS 接続を備える。[1]
Triforce のように家庭用機とは別系統の共同アーケード基板を構築するのではなく、Broadway / Hollywood と IOS を中心とする Wii の仕組みを業務用へ持ち込んだ点に特徴がある。家庭用の RVL、開発・検証用の RVT に対し、RVA はアーケード用途を示す製品コードとして使われた。
基本情報
家庭用 Wii から何が変わったのか
RVA-001 の外観には Wii との連続性が残る一方、端子構成は業務用筐体へ合わせて大きく変更されている。光学ドライブとセンサーバー端子を持たず、映像は VGA、音声は独立したステレオ端子から出力する。前面操作も POWER / RESET / EJECT / SYNC ではなく、SEL / SET / RESET と DIP スイッチへ置き換えられている。背面には通常の USB に加えて EXT-PWR、SERIAL 1、SERIAL 2、JVS が用意される。[2]
JVS 端子は筐体側の I/O と接続するために用いられ、タイトルによって使用する USB / JVS 端子も異なる。『タツノコ VS. CAPCOM CROSS GENERATION OF HEROES』のマニュアルでは I/O ボードを JVS 側へ接続する構成が確認されている。[2]
RVA-001 には 6 個の DIP スイッチがある。一方、Revolution SDK の RVA API では、タイトル側から 4 bit の DSW 入力を読み取ることができる。『タツノコ VS. CAPCOM CROSS GENERATION OF HEROES』で使用された実機では、DIP 1 による 15 kHz / 31 kHz 切り替えが報告されている。[1][5]
RVA 専用 SDK API
Revolution SDK には、RVA 向けハードウェアをタイトル側から利用するための専用 API が用意されていた。公開されている revolution/rva.h では、筐体 I/O を扱う JVS、外部機器向けの 2 系統のシリアル通信、設定やゲームデータの保持に使える 32 KB のバックアップ RAM、筐体上のスイッチ入力、動作監視用のウォッチドッグなどを扱う機能が定義されている。[5]
スイッチ入力では、4 bit の DSW に加えて SEL / SET ボタンをアプリケーションから読み取ることができる。SDK のビルド情報には RVA 専用のサンプルプログラム群も確認でき、RVA 固有の機能が起動処理だけの内部実装ではなく、タイトル開発者が利用することを想定したインターフェースとして提供されていたことが分かる。[6]
家庭用 Wii ではソフトウェアから意識する必要のない筐体側の入出力や状態保持、監視機能まで SDK の一部として提供されており、RVA はハードウェアだけでなく SDK レベルでもアーケード用途向けに拡張されていた。
RVA-CPU-X2 と Wii 系シリコン
確認されている基板には RVA-CPU-X2 のシルクがある。Broadway と Hollywood は Wii 開発機 NDEV と同系統の部品が用いられており、RVA は別アーキテクチャのアーケード基板ではなく、Wii 系シリコンを業務用途へ組み替えたシステムと捉えられる。
一方、同じ Wii 系シリコンを使用していても、ソフトウェアの信頼体系まで市販機と共通というわけではない。市販 Wii と開発機では Hollywood 内に保持される Common Key が異なり、署名検証に使われるルート鍵も別系統になっているため、暗号化・署名されたソフトウェアをそのまま相互利用できる構成ではない。[7][8]
システム更新と証明書体系
RVA Setting Menu は、SD カード上の A:/sysupdate/RVASysMenu.*.wad 形式のファイルを検出してシステム更新を行う仕組みを持つ。Wii で使われていた WAD / IOS 系のソフトウェア基盤が、RVA のシステムソフトウェアにも引き継がれている。[1]
Wii の証明書チェーンには、家庭用・開発用とは別にアーケード向けの CA が確認されている。CA10000000 はアーケードシステム用、CA20000000 は SEGA、CA30000000 は Namco、CA50000000 は Capcom 向けとして整理されており、Capcom には ticket 用の XS50000000 と TMD 用の CP50000000 も存在する。[3] 実機の RVA Setting Menu には for CAPCOM と表示される例があり、少なくともシステムソフトウェアの一部にはメーカー別の構成が存在したことがうかがえる。[1]
確認されている採用例
公開情報で RVA-001 採用が確認されている代表例には、カプコンの『タツノコ VS. CAPCOM CROSS GENERATION OF HEROES』と、『マリオパーティ 8』の資産を利用したアーケード向けタイトル群がある。Hit Save! Archive は、『マリオパーティ ふしぎのコロコロキャッチャー』『マリオパーティ くるくる!カーニバル』『マリオパーティ ふしぎのコロコロキャッチャー2』の 3 作品を RVA-001 向けとして整理している。[4]
RVL / RVT / RVA――Wii の三つの用途
Wii には、家庭用の RVL、開発・検証用の RVT、業務用の RVA という異なる製品群が存在する。RVA-001 は、家庭用 Wii のアーキテクチャをそのままゲームセンターへ持ち込んだだけではない。光学ドライブを外し、VGA と JVS を加え、業務用設定メニューと別の証明書体系を用意することで、同じ Wii 系ハードウェアを異なる運用環境へ適応させている。
RVA の特徴は、家庭用ソフトを動かせることそのものより、Wii のシリコン、OS、署名基盤を再利用しながら、各メーカーが業務用タイトルを展開できる共通の土台へ作り替えたことにある。ゲーム専用機として設計された Wii が、開発機だけでなくアーケード筐体の中でも別の役割を与えられた例である。
出典
- WiiBrew, Revolution Arcade. RVA の console type、VGA / JVS、RVA Setting Menu、SD カードによるシステム更新、DIP スイッチ等。
- Luckless Heaven, Wii Arcade Hardware. RVA-001 の外観、端子、操作部、RVL-002 電源、採用例等。
- WiiBrew, Certificate chain. アーケード向け CA / XS / CP 証明書。
- Hit Save! Archive, Mario Party 8. RVA-001 を使用したカプコン製アーケード 3 作品。
- 公開されている Revolution SDK ヘッダのミラー,
include/revolution/rva.h. RVA board API、JVS、Serial、Backup RAM、Switch、Watchdog 等の公開インターフェース。 - 公開されている Revolution SDK ビルドメタデータ,
build/demos/rvasmpdemo/. RVA 向けサンプルプログラム群。 - WiiBrew, Hardware/OTP. Hollywood の OTP に保持される Common Key 等の暗号情報。
- Dolphin Emulator,
IOSC.cpp. retail / development 用の Common Key とルート公開鍵の扱い。 - WiiBrew, Revolution OS. RVA 用 console type と
OSGetConsoleType()による機種識別。 - WiiBrew, NAND Boot Program. NAND タイトル起動時の RVA 判定と
RVA.txtの参照。